京大受験旅行記 2日目

2020.02.25.Tue

本日は昨日とは打って変わって曇天なり。

起きてご飯食べて、市バスで京大へ。

未だ決せず。

皆おのおのノートを携えて最後の粘りをみせていました。わたくしも現代文を読んでおります。

受験は可能であるが合格にはならないという予想通りの返事でありました。再考の末、受験しないということを自分で決め、京大を後にしました。なにが正解だったのかわからない。今日受けるべきであったのかもしれない。合格が決まっても勉強し続けるべきだったのかもしれない。初めから目指さなければ良かったのかもしれない。だが、しかし。だがしかし、タイムスリップしたとしてもわたくしは全く同じ道を歩むのだろう。わたくしはいつだって、わたくしが好きな道を、楽しい道を、心躍る道を選びとってきたのです。

正解は今のわたくしがかつてのわたくしを認められるようになって初めて、正解となり得るのでしょう。それはいつだろうか。

 

心のなかがぐるぐるもしゃもしゃで、常のようにわたくしは小説の中へと逃避していきました。

百万遍を通り、満月に立ち寄って阿闍梨餅を買います。
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阿闍梨餅を食べながら、黒髪の乙女とは反対に鴨川デルタへ足を向けます。川に点々とある石をぴょこぴょこ飛び越え、亀に飛び乗ってキャプテンジャックの真似をします。おじさんもぴょこぴょこしております。静かで音のない時間であります。
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狸の家族の様子を見に行きます。

 

河合神社に立ち寄ると甘い芳香が漂ってきました。どうやら、花梨でしょうか。美人になれるよう神武天皇の母君であらせられる玉依姫にお願いします。

 

枝ばかりで閑散とした糺の森をてくてく進み、下鴨神社へお参りします。
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御手洗川の橋を渡りながら、ここで光琳紅白梅図屏風を描いたのかと感動し、水みくじでまた大吉がでます。
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香水や水引のイヤリングも購入し、しっかりお参りもして神社をあとにします。

 

近くの加茂みたらし茶屋でみたらし団子と桜餅をいただきます。こここそがみたらし団子発祥の地なのです。元々はひなのようなもので、人間の身体を表しているそうです。
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加茂川、鴨川沿いの橋を次々にくぐり、マガモの行列を眺め、寺町通の商店街へ行きます。目指すはスマート珈琲店。混んでいるかと思いきや、3番目で入れました。店内にはコーヒーの香りが広がっています。2階に案内され、椅子に腰掛けるとふわっふわ。頼むものは既に決まっています。あつあつのコーヒーとたまごサンドウィッチです。かの後藤係長風に。シンプルなのにすっごいおいしいんです。ボリュームたっぷりで卵はうわうわ。今度は土曜の朝に来たいです。
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続いて京都らしい穏やかな小路を通り、へそ石のある六角堂へ。こじんまりとした境内に鳩や白鳥がいます。
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ここにあるへそ石は平安京遷都の時に六角堂が自ら移動した時に取り残されたものだそう。想像するとなんだか滑稽であります。
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さらに四条通りを渡り、上羽絵惣へ。およそ2年、ずっと欲しかった胡粉ネイルを本場で手に入れに行きます。いろいろな色を試し、水茜とスパーコートを購入しました。初めての自分のネイル。手先がきらきらして上品に振る舞いたくなります。

 

気に入ったネイルをつけたまま、特に当てもなく四条通に戻ります。ジュンク堂を目にして、わたくしは相変わらずさを発動します。吸い込まれるように店内に入り、森見登美彦さんの初版本を探します。お目当てを見つけ、嬉しく思いながら河原町方面へ。かわいいピアスやさんを見つけ寄ってしまいます。PIARIさん。中国出身の気さくなお姉さんが案内してくれました。赤のシンプルなイヤリングを買いました。裏道のラーメン屋さんが美味しいと紹介されて、夕飯はそこに行くことにしました。その前に丸善へ行きます。「檸檬」の聖地巡りもしたかったのですが、ことごとく潰れているのです。丸善では来年度の京都手帳を購入。京都限定絵柄です。これで京都をいつでも学べます。

件のラーメン屋さんはなんだっ亭というカレーつけ麺のお店屋さんで、珍しくて看板をしげしげと眺めたものです。(じつはここ、八兵衛さんの近くの裏道に繋がっていたんです。)中にはカウンター席で、行きつけのお客さんらしき人がいました。注文すると、ぶくぶくと音を立てて沸騰しているカレー味のつゆが出されました。店長さんとお客さんの営業事情を聞きながら無心で食べます。紹介されて来たことをはなし、ごちそうさま、と言ってお店をでます。
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行きたいと思っていた錦通りシャッター商店街になっていました。既に営業時間は終わっていたのです。それでも趣があり、人びとが闊歩するのですから、さすが京都、と言った所でしょうか。
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ホテルにはバスタブがないので銭湯へ行きます。初銭湯です。大宮の錦生湯さん。
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家のお風呂には大きすぎるくらいのお風呂がいくつも並んでいます。下調べでお湯の種類が豊富であることは知っていたので、まずはシンプルそうな所に入ります。深い。膝立ちしてお湯が首まで浸かります。暑くて、隣が水風呂かと思って手を伸ばすと衝撃が走る。冷たすぎたのかと思って、もう一度手を入れる。どうやら温かいらしい。目の悪いわたくしには注意書きが見えなかったのです。電気ぶろ。おばあさんはちょっとごめんなさいねぇ、といってスタスタと入っていきます。わたくしは命の危機を感じているというのに。心を読むかのように死にゃしないよ、と。他にもサウナ、水風呂と薬湯など初めての銭湯に興味津々であります。塩風呂なるものに入れば、まさしく海水に浸った時のように体の傷という傷の位置を教えるのです。なんだか銭湯にもみくちゃにされて、くたくたになって霧雨の降る中、帰途に着きます。恰も戦闘のようであった。と。…

 

たくさんの想いに晒されて、わたくしはプールの中であぷあぷしながら泳ぎ続け、やっとプールサイドに打ち上げられたときの気持ちで、ホテルの人が綺麗にしてくれたベッドに身を投げました。𖠚ᐝ